究極UPandDOWN
百代の夢現
季節トーク書いてたら、どうにも扱いが難しくて長くなりそうだったので、それならいっそSSにしてやんよ!と意気込んだらこんなことに・・・。
勢いで書いたら、オチが思い付かなくて何だか尻切れトンボになっちゃうのと、当初予定していた話の流れと違うものになっちゃうのが、僕の悪いクセ!(テヘペロ☆
《注意事項》
・ムサが人型
・恋愛傾向オン
・どう見ても ムサ→ユーザ←みずば
・文章能力\(^o^)/オワタ
それでもOKな方は続きからどうぞ。
「なんかさぁ、最近、夜になったら街中がキラキラしてるんだよねぇ」
窓辺に寄り掛かり、うっすらと紺色を帯び始めた空を見上げながら、独り言にしては大きい声でムサが呟いた。
「12月だからな。時期的に、イルミネーションに力が入るんだろ」
「そういや、11月に入ってすぐに、テレビでクリスマスイルミネーション点灯とか言ってたっけ・・・」
気が早すぎるよ、と続けながら、ムサは胸の前で両手を合わせ、目を閉じた。
何をするのかと目線だけで確認すれば、ぼそぼそと聞こえる負の願い。
「イルミネーションデートに出掛けるカップルの目が・・・潰れますように・・・」
「恐ろしいこと願ってやがる・・・」
妬みって怖ぇな、と心の中で呟いて、目線を手元の本に戻す。
その時、ふわりと紅茶の香りが部屋に流れ込んできた。
顔を上げると、丁度、あいつが部屋に入ってきたところだった。
手にしている盆には、3つのカップと小瓶が2つ。
「紅茶です。良かったら、どうぞ」
良かったら、なんて。
俺達が、あんたがわざわざ用意してくれたものを無下にする訳がないのに。
「ありg「いーやったぁぁ!ありがとー!もうすっごく紅茶が飲みたかったんだー!!」
一瞬で窓辺からテーブルに移動したムサが、飛びつかんばかりの勢いで、あいつの隣を陣取った。
・・・・面白くない。礼も言いそびれたし。
無意味に本のページをパラパラとめくって気を紛らわせていると、小瓶からミルクをだばだばと注いでいたムサが、ハッと何かを思い付いたような顔をした。
―――嫌な予感。
「そうだ!僕も君と一緒に出掛ければいいんじゃないか!周りのカップルどもの比にならないくらいイチャイチャしてやろう!そうしよう!!」
そうと決まれば善は急げだ、と、ムサがあいつの手を掴んで立ち上がった。
いきなりのことで、全く事態を把握できていないあいつは、ムサに引きずられるようにして立ち上がった。
「え、あの、ちょっと、何のことだか・・・」
「今からイルミネーションデートに行くんだよ!」
「え!?デート!?」
話の経緯を一切省いた説明で、尚も混乱したまま連れて行かれそうになっている。
そんなあいつの、空いた方の手首を掴んだ。
「いい加減にしろ、ムサ。こいつは仕事でここに来てんだぞ。仕事と関係ないことで、寒空の下に引っ張り出すな」
振り返ったムサが、不機嫌さを丸出しにして、俺を睨む。
「む、そんなに仕事仕事って言うんなら、これもお仕事の1つってことにすればいいでしょ。寒くないようにちゃんと防寒着着せてあげるし、カイロだって持って行くよ。いざとなったら、僕自身で温めてあげるし?」
「そういう下心があるから駄目なんだよ!」
「何さ!デートなんだから下心の一つや二つや十や千やあるに決まってんじゃん!」
「何開き直ってんだ!大体、お前とこいつを2人きりにすること自体反対なんだよ!」
「ヘタレは黙っててよ!」
「うるさい!下心の塊が!」
「何を!このむっつり!!」
「・・・あのぉ・・・」
つい我を忘れてムサとぎゃんぎゃん口喧嘩をしていたら、困ったような、申し訳なさそうな、そんな声が間から聞こえた。
ムサも気付いたようで、2人で声のした方を見る。
「え、えっと、ごめんなさい。私、今日、お鍋にしようと思って、材料とか、買ってきてるし、準備もちょっと、しちゃったので、その、申し訳ないんですけど、お出掛けは・・・・」
・・・・そう言えば今日、来た時に“今晩はお鍋にしますね”って言っていたような。
ムサを見ると、同じように思い出したらしく、気まずそうに頬を掻いている。
だが次の瞬間、ポンと手を打って、がらりと表情を変えた。
「それじゃ、お鍋のお手伝いする!」
俺が手を離していたのをいいことに、ムサは嬉々として、あいつを台所に引っ張り込んでいった。
姿が見えなくなってから、あいつの“いいですよ”とか“大丈夫ですから”とか、遠慮する声がした。
同時に、ムサの“いいってー!”とか“これ切ればいいの?”とかも聞こえて、何だかじっとしていられなくなった。
そして、あいつの“それじゃあ、お願いしますね”という声で、俺は部屋を出た。
俺が行ったら、ムサから3人だと狭いだの何だの言われるだろうが、そんなの知ったことか!